11月度の御報恩御講に参詣させて頂きました。
御書は『法華取要抄』

「諸病の中には法華経を謗ずるが第一の重病なり。諸薬の中に南無妙法蓮華経は第一の良薬なり。此の一閻浮提は縦広七千由善那八万の国之有り。正像二千年の間未だ広宣流布せざる法華経を当世に当たって流布せしめずんば釈尊は大妄語の仏、多宝仏の証明は泡沫に同じく、十方分身の仏の助舌も芭蕉の如くならん。」

【通釈】 諸病の中には法華経を誹謗することが第一の重病である。の中では南無妙法蓮華経が第一の良薬である。 この一閻浮提は縦横七千由旬 (ゆじゅん)あり、 その中に八万の国がある。 正法・像法
千年の間いまだ広宣流布していない法華経を、この末法の世に当た流布させなければ、釈尊は大妄語の仏ということになり、多宝仏の証明は水の泡と同じになってしまい、十万分身の諸仏の舌相も、芭蕉の葉のようにもろく破れてしまうであろう。
【主な語句の解説】 *一閻浮提・・・仏教の世界観。人間が住む世界。南閻浮提とも。
*由善那(ゆぜんな)・・・ 古代インドの距離の単位。由旬は梵語ヨージャナ音写。 由延、 由善那とも。
*多宝仏・・・多宝如来のこと。 法華経見宝塔品第十一で、 多宝塔に坐して出現し、釈尊の説く法華経が真実であることを証明した。
*十方分身の仏の助舌・・・ 法華経如来神力品第二十一に
「諸仏も、亦復是の如く、 広長舌を出し、 無量の光を放ちたもう」 (法華経五一〇)と、十方世界から
分身諸仏が、釈尊と同様の広長舌相を示して法華経が真実であることを証明した。 釈尊の説法を助けるためにこの相を「助舌」という。
*芭蕉Japanese banana・・・ バショウ科の植物。葉は太い繊維質で形成され、葉脈に沿って裂けやすい。
【背景と大意】
本抄は、文永十一 (一二七四)年五月二十四日、日蓮大聖人五十三歳の御時、身延入山直後に述作され、 下総(千葉県)の富木常忍に与えられた御書です。 本門の本尊・戒壇・題目という三大秘法の名目が、初めて整足して明かされた重要書であり、日興上人により御書十大部の一つに選定されています。

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